用途地域で、周辺環境を大雑把に把握。
周辺環境を大雑把に把握するものとしては、用途地域がございます。
用途地域とは、何かと言いますと、建てられる建物の用途や建ぺい率、容積率、高さなどを定めた地域。ようするにどんな建物を建てていいかを決めているということです。
用途地域は、市街化区域では定めるものとしているので、家を建てる、購入する際は出てくるものと思って戴いていいと思います。
用途地域の種類は、全部で13種類。住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類です。ざっとですが、建てられる建物の用途を説明させて戴きます。(建ぺい率、容積率はまたの機会に)
◎住居系
1、第一種低層住居専用地域
基本的に低層住宅以外はほとんど建てられません。工場、事務所、店舗、倉庫、遊戯施設、風俗施設は建てられませんので、住環境としては、閑静な住宅街になります。小中高等学校、幼稚園、保育所、診療所、図書館は建てられますが、病院、大学、高等専門学校、専修学校は建てられません。兼用住宅は建てられますが、非住宅部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ面積の1/2未満のものとなり、またこの非住宅部分の用途制限もございます。
住環境はいいですが、買物の便とかの生活施設の利便性は劣ります。また、建物の絶対高さ10m又は12mの制限、都市計画での外壁の後退制限がございます。
2、第二種低層住居専用地域
2階以下の日用品等の販売店舗が建てられますが(店舗等の床面積が150㎡以下)、第一種低層住居専用地域とほぼ変わらない住環境になります。買物の便等の利便性は劣ります。建物の絶対高さ10m又は12mの制限、都市計画での外壁後退の制限がございます。また、パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋、洋品店、畳屋、建具屋、自転車店等で2階以下、作業場の床面積が50㎡以下のものは建てられます。(原動機、作業内容の制限がございます。)
3、田園住居地域
基本的には第二種低層住居専用地域と一緒です。違いは店舗として、農産物直売所、農家レストラン等(2階以下)。農産物、農業の生産資材を貯蔵するものに限る自家用倉庫。農産物を生産、集荷、処理及び貯蔵するものに限る危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場が建てられます。農産物なら手に入りやすくなるかもしれませんね。
4、第一種中高層住居専用地域
上記第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域に建てられるものの他に、2階以下の飲食店、物品販売店等が建てられます。(床面積500㎡以下)大学、高等専門学校、病院等も建てられますので、利便性は上記3つの用途地域に比べて増します。絶対高さはございませんので、中高層住宅向きの用途地域となります。
5、第二種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域に建てられるものに加え、2階以下の床面積1,500㎡以下の飲食店、物品販売店等が建てられます。また、2階以下の床面積1,500㎡以下の事務所等が建てられます。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量が非常に少ない施設なら2階以下、1,500㎡以下なら建てられます。利便性は高まります。
6、第一種住居地域
第二種中高層住居専用地域に建てられるものに加え、床面積3,000㎡以下の店舗等、床面積3,000㎡以下の事務所等が建てられます。(階数制限がなくなります。)上記用途地域には建てられなかった3,000㎡以下のホテル、旅館、ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場等が建てられます。50㎡以下の危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場、作業場の床面積50㎡以下の自動車修理工場(原動機、作業内容の制限あり)も建てられるようになります。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量が非常に少ない施設なら3,000㎡以下なら建てられます。工場、娯楽施設がここで出てきます。
7、第二種住居地域
第一種住居地域に建てられるものに加え、床面積3,000㎡以上の事務所等、床面積10,000㎡以下の店舗等、カラオケボックス、麻雀屋、パチンコ屋、射的場、馬券・車券発売所等が建てられます。ホテル、旅館、ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場等は、面積制限がなくなります。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量が非常に少ない施設の面積制限がなくなります。
8、準住居地域
第二種住居地域に建てられるものに加え、倉庫業用倉庫、客席及びナイトクラブ等の用途に供する部分の床面積200㎡未満の劇場、映画館、演芸場、観覧場、ナイトクラブ等が建てられます。自動車修理工場は、作業場の床面積150㎡以下となります。風俗ポイものが、ここで出てきます。
◎商業系
1、近隣商業地域
住宅はもちろん、店舗、事務所、娯楽風俗施設は、キャバレー、個室付浴場等以外なら建てられます。作業場の床面積150㎡以下なら危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場が建てられます。(原動機、作業内容の制限あり)。自動車修理工場は、作業場の床面積300㎡以下なら建てられます。(原動機の制限あり)。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量が少ない施設が建てられます。利便性は高い地域です。
2、商業地域
住宅、店舗、事務所、遊戯施設、娯楽風俗施設、学校、病院、倉庫の全てが建てられます。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量が少ない施設が建てられ、危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場、自動車修理工場は、近隣商業地域と一緒です。駅に近いところが指定されていることが多いので、利便性はもっとも高いですが、いわゆる繁華街になりますので、住環境は住居系に比べて劣ります。
◎工業系
1、準工業地域
住宅、店舗、事務所、遊戯施設、個室浴場等を除く風俗施設、学校、病院、倉庫が建てられます。工場では、危険性や環境を悪化させるおそれがやや多い工場が建てられます。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量がやや多い施設が建てられます。利便性は高いですが、工場の建てられるものが、緩和されているので、住環境は住居系の用途地域に比べ劣ります。
2、工業地域
住宅、事務所、工場、倉庫が建てられます。火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量では、量が多い施設が建てられます。店舗等は、床面積10,000㎡以下となります。ホテル、旅館、劇場、映画館、演芸場、観覧場、ナイトクラブ等やキャバレー、個室浴場等、病院、学校関連は建てられません。
風俗関係は建てられませんが、工場が多くなります。(危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させる工場も建てられます。)生活施設の面では買物には困らないが、学校等が遠くなります。
3、工業専用地域
住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、遊戯施設、風俗施設は建てられません。店舗も制限がございます。事務所は建てられますが、工場、倉庫街になると思っていいと思います。
以上、ざっとですが、用途地域の用途制限を上げてみました。他にも細かい規定がございますので、興味のあるかたは、建築基準法を見て下さいね。
住環境重視で、お考えなら第一種低層住居専用地域から第二種中高層住居専用地域の住居専用地域。
ある程度、生活施設が必要であれば、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域。
利便性追求なら、近隣商業地域、商業地域になると思いますが、最近工場が移転して、その跡地にマンションが建ち、準工業地域、工業地域であっても、意外に住環境も悪くない地域や、隣接地域が第一種住居地域等で、意外に利便性がいい住居専用地域もあります。
あくまで用途地域は目安にして、実際に現地周辺を歩いて住環境を確かめて戴ければと思います。
個人的に、用途地域のイメージを出すとこんな感じです。(工業専用地域を除く)
つっこみどころはあると思いますが、あくまで、私個人のイメージとして掲載しました。