容積率で延べ面積の限度を把握。
今回は、用途地域の定めがある容積率の話です。以前、建ぺい率のお話でさせて戴きましたが、同じ広さの土地でも建てられる建物の大きさが、建ぺい率と容積率によって変わってきます。
容積率って?
容積率とは、敷地面積に対する延べ面積の割合をいいます。
容積率(%)=延べ面積÷敷地面積×100
で計算します。
延べ面積って?
建物の床面積の合計を延べ面積と言います。
床面積は、建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいいます。
ようするに、上記図の濃い緑(1階と2階と3階部分の濃い緑)を足したものになります。
延べ面積に算入されないもの
- 天井が地盤面からの高さ1m以下の住宅の地階は、建築物の延べ面積の合計の3分の1を限度として算入されません。
- 自動車車庫等の床面積は、建築物の延べ面積の合計の5分の1を限度として算入されません。
- 共同住宅の場合は、共用の階段、廊下、エレベーターホール、エントランスホールは算入されません。
他にもいろいろありますが、興味のある方は、建築基準法第52条、建築基準法施行令第2条をご覧になって下さい。
(備蓄倉庫、宅配ボックスとかがございます。)
計算例
例、容積率200%の地域で、敷地面積100㎡としたら、(他の規制が何もない場合)
100㎡×200%=200㎡
延べ面積を200㎡を限度とした建築物にして下さいということになります。
また、逆に容積率を求める計算式は、
延べ床面積÷敷地面積×100=容積率
と、なります。
指定容積率
用途地域により、容積率の指定がございます。(高層住居誘導地区内の建築物、特定用途誘導地区内の建築物を除く)
用途地域 | 容積率 |
第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 田園住居地域 |
50,60,80,100,150,200%のうち 都市計画で定められたもの。 (特定用途誘導地区内の建築物を除く。) |
第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 準工業地域 |
100,150,200,300,400,500%のうち 都市計画で定められたもの。 (高層住居誘導地区内の建築物、 特定用途誘導地区内の建築物を除く。) |
商業地域 |
200,300,400,500,600,700,800, 900,1000,1100,1200,1300%のうち都市計画で定められたもの。 (特定用途誘導地区内の建築物を除く。) |
工業地域、工業専用地域 |
100,150,200,300,400%のうち都市計画で定められたもの。 (特定用途誘導地区内の建築物を除く。) |
敷地と道路の関係による容積率の制限。
容積率は前面道路の幅員が12m未満の場合は、上記の指定容積率よりも制限されます。(例外もございます。)
住居系の用途地域は、前面道路幅員×40%(例外もございます。)
その他の用途地域は、前面道路幅員×60%(例外もございます。)
のうち、指定容積率と比較して小さいほうが容積率の上限となります。
例、第一種住居地域で指定容積率が300%、前面道路幅員4.0mと5.0mの角地の場合。
前面道路が2つ以上ある場合は、広い道路の幅員が適用になります。
よって、容積率は
5.0m×40%=200%
200%<300%となり、指定容積率が300%でも、容積率は200%に制限されます。
では、次の例はどうでしょうか。第一種住居地域、前面道路が5.0mと8.0mの角地で指定容積率300%です。
広い方の道路が適用されますので、
8.0m×40%(住居系は40%)=320%
320%>300%となりなすので、指定容積率の300%がこの敷地の容積率の上限となります。
次の例として、準工業地域、指定容積率300%、前面道路幅員4.0m、5.0mの角地の場合。
広い方の道路が適用されますので、
5.0m×60%(その他は60%)=300%
300%=300%となり、指定容積率300%と同じ数値ですので、容積率の上限は300%となります。
上記のように、敷地と道路の関係と指定容積率が同じでも、用途地域が住居系とそれ以外では、容積率の上限が変わる場合がございます。
特定道路による容積率の緩和
幅員15m以上の特定道路から70m以内に敷地があり、敷地の前面道路幅員が6m以上12m未満の場合は、次の式により前面道路の幅員を加算できます。
加算する幅員=(12-前面道路幅員)×(70-敷地から特定道路までの距離)/70
例、第一種住居地域、前面道路幅員6.0m、指定容積率300%。特定道路まで50m。の場合。
(12mー6.0m)×(70-50.0m)/70=1.7m
6.0m+1.7m=7.7m。(前面道路の幅員を7.7mとみなしてもらえる。)
7.7m×40%=308%
308%>300%
となり、容積率は指定容積率300%をまるまる利用できることになります。
緩和がないと容積率は、
6.0×40%=240%
ですので、かなり違ってきます。
容積率が異なる地域に敷地がまたがる場合
この場合は加重平均により計算します。
例、敷地面積1,000㎡。第一種中高層住居専用地域(指定容積率200%)に600㎡、第一種住居地域(指定容積率)に400㎡と容積率が異なる場合、図にすると下図のようになります。
加重平均で計算します。まずは、前面道路からの容積率を計算します。
6.0m×40%=240%。
200%(指定容積率)<240% よって200%(第一種中高層住居専用地域の容積率)
300%(指定容積率)>240% よって240%(第一種住居地域の容積率)
第一種住居地域の容積率は、240%に制限されます。
200%×600㎡/1000+240%×400㎡/1000=216%
よって、容積率の上限は216%となります。
延べ面積からも出せます。
600㎡×200%+400㎡×240%=2,160㎡(延べ面積の限度)
2,160㎡(延べ面積限度)/1,000㎡(敷地面積)×100%=216%
と、なります。
以上が容積率のあらましとなります。他にもいろいろな規制により、建物を建てる時に規制を受けます。(他のものは、また後日に。)
マンションや戸建、土地のパンフレットや販売図面の物件概要の欄に、建ぺい率、容積率、用途地域は出てきます。このときの参考にでもして戴ければと思います。